強引な誘い

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 私こそ大きなため息をついて、部屋を出た。真面目に考えるだけ損だ。ああいうわけのわからない人は無視するに限る。  社会に出て学んだことだ。大学にもそういう人がいた。接点を作らなければいいのだ。  上司だから最低限しょうがないとして、同居とか絶対ない。当日適当に断ればいいと軽く考えていた。  最近は普通に仕事もこなせるようになってきた。桜井さんも最近は私の仕事を全然見ていない。やっと自立出来た。嬉しい。  かといって、安心するとまたやらかす可能性があると自分に変な自信のある私は、必ず確認だけはするようにしていた。 「桜井さん。課長にお客様が来てコーヒー入れるんですけど、課長はミルクだけでいいんですよね?」 「そうですよ。お客様って誰?」 「知らない人です」 「知らない人って、社外じゃないよね?ちょっと待って……」  桜井さんはガラス扉になっている打ち合わせコーナーを見て、口に手を当てた。 「え?開発課長の篠田さんじゃない?」 「開発課長?」 「そう。工場の横にあるオフィス、新商品とかを作っている部署。社内の人だよ、だから……お茶でいいよ、冷たいお茶でも出しといて」
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