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「ちょ、ちょっと待って。行かないから、私……」
「うるさいな。とにかく一旦行ってから考えろ」
「それこそ変ですよ。行く前に話し合いましょう」
「お前はダメだ。ひとりだとキチンと生活しない。この台所はどういうことだ?未婚女性の台所とは思えないんだが……」
だ、だって、料理しないし。出来ないし。片付け苦手だし。見ないで欲しかった。
「見ないで下さいよ!」
「今更?遅いわ、とっとと片付けろ。ここは俺がやる」
そう言うと、持ってきたのか保冷バッグを出して、冷蔵庫から色々と食料を詰め始めた。
私が困ったように立っているのを見て、じろりと睨む。ひいっ。怖いよ。
「早くしろ」
もはや私が干物女子であることは完全にばれた。
「捨てるものさえない。お前、ほとんど自炊していないんだな。もしかして本当に苦手なのか、料理……」
「はい、そうです」
私はとりあえず一旦課長の家に行かないと許してもらえないと悟った。スーツケースに数日分の服を詰め込み、手洗い場から色々持ってきた。化粧品にパソコン、充電器、ブツブツ言いながら詰めていく。
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