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気がつくとコーヒーの香りがしている。課長は勝手にコーヒーを入れて飲みながらこちらをじっと見ている。
とりあえず、ぎゅうぎゅうに無理矢理急いで服を詰め込んだ。バタンという音を立ててスーツケースの蓋をする。何とか終わった。
すると、課長が近づいて来た。ミルク入りのコーヒーを手渡してくれる。びっくりした。
「お前、ミルクだけだろ?俺と一緒だな」
「どうして知ってるんですか?」
「それはまあ、会社で……」
「うそですよ。だって、課長私が作っているところ見たことないじゃないですか」
「……まあ、俺は何でも知ってるんだよ。お前と違って注意深いんだ」
うちのコーヒーってこんなに美味しかったっけ?
「うまいか?」
こくんと頷くと、嬉しそうに笑っている。課長格好いいな。
「どうした?」
「課長、普段着格好いいですね。そう言えば、コンビニに来たときもそんな格好でしたね。もう、一年経つんですね」
「一年どころか二年以上だろ、あれから……」
そうか、就活のこと考えたらそうだ。
「お前その部屋着で玄関出ているのか?やめたほうがいい」
「人に見せる格好ではありません」
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