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そう言って私の手から保冷袋を取り上げ、スーツケースをガラガラと引きながらいなくなった。
至って普通のブラウスとフレアスカートに着替えた。でも、ブラウスは少しえりが広くて、縁取りが花の形。スカートも小さい紫の花柄。スミレだ。私の名前にちなんで買ったもの。気づく人はあまりいないけどお気に入りだ。
髪も下ろしてバレッタで纏めた。うん、可愛い。自己満足だけど……。課長は可愛い服の女の人がお好みなんだろうか?
駐車場に行った。どの車?キョロキョロしてたら、窓から手を出している人がいる。見るとサングラスした課長。イケメンが少しワイルドになっている。
近寄っていくと、課長がわざわざ車から出てきた。私をじっと見ている。もしかして洋服チェック?
「ふーん……」
「あの、少し可愛い目の服にしてみましたが……」
「うん、いいんじゃないか?可愛いぞ」
「あ、ありがとうございます……」
助手席に乗るべきだろうか、いやこの場合は、後部座席一択だと思った。車を覗いた。
何も言わないから後ろのドアを引いた。すると、課長がびっくりしたのか、回ってきて私の腕を引っ張る。
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