料理の師匠

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「無理しなくていい。手は大丈夫か?」 「たいしたことないので、大丈夫です。課長は休んで下さい。ありがとうございました」  お礼を言うため頭を下げたら、その頭を撫でられた。まるで子供みたい。 「報酬の代わりに、明日からはお前がお茶やコーヒーを入れてくれ」 「はい、頑張ります」 「まずかったら、ペナルティーもらうぞ、本気でやれ。そうじゃないとお前は身につかない」 「はい」 「よし。じゃあ、後頼んだぞ。それと家探しだが料理を学ぶ間はうちにいろ」 「え?」 「じゃあ、おやすみ」 「はい。おやすみなさい……」  翌日から課長に料理を教えてもらい始めた。  最初は塩と砂糖を間違えたりして、本当に呆れられた。  だが、課長の前だと恥をかいてもいいかと思えるのが不思議だった。  課長も自分の手伝いをさせながら丁寧に教えてくれた。  一ヶ月後には助手として、少しは野菜を上手に切れるようになってきた。  課長は教えていく順序を表にして見せてくれた。半年で大体のものは作れるようにするというプロジェクトだと言われた。すごすぎる。 「これに沿って教えていく。やる気が出るだろ?」
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