料理の師匠

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「えー、ホントですか!?嬉しい。課長の作るケーキって初めてですよね」  それでこの甘ーい匂いが部屋一面にしていたのか。 「そうだな。実は俺自身ケーキを焼くのが……ほぼ五年ぶりだ。誕生日だし特別に作ってやることにした」  五年ぶり?どうして? 「どうして五年ぶりなんですか?忙しくて、パティシエが仕事でなくなったから、作らなかったんですか?」 「……ケーキ以外のデザートはたまに作っていただろ」 「ケーキだけどうして?でも、私の誕生日だから久しぶりに作ってくれるんですよね。師匠、ありがとうございます」  頭を下げてお礼を言う。課長は振り向いて言った。 「そうだな、特別だ。この俺がやっと……ケーキを焼く気になった。まあ、ある意味特製ケーキだ。久しぶりだし失敗もあり得る」 「課長が失敗?あり得ませんよ。私も手伝います」  エプロンをして立ち上がった。 「じゃあ、買ってきたものを冷蔵庫に入れて、そこにある野菜を洗ってくれ。ケーキはもうオーブンに入っている」  しばらく料理をして、チンという音を聞いて、課長は焼き上がったケーキを見に行った。 「できましたか?」
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