1220人が本棚に入れています
本棚に追加
「ああ、いい感じだ。久しぶりだな、この感覚、この香り……」
私も見に行くと課長が型に入ったスポンジケーキを出していたところだった。
「さてと。あとは冷ましている間にイチゴを切って、ソースとホイップクリームを作る」
「ソース?」
「イチゴのソースと二段にする」
「ジャムじゃなくて?」
「もちろん、違う。今作る」
一時間後、課長が先に下ごしらえをして作っておいてくれたローストビーフを取り出して切った。
前菜とスープやサラダなどを並べてとりあえず食事を始めた。ローストビーフに使ったワインベースのソースが美味しい。
幸せすぎる。にやにやしていたら、課長にほっぺを突っつかれた。
「えくぼが見えてきた。よほど嬉しいのか?」
「とっても嬉しいです。でも、もうすぐ九時ですよ。ケーキはどうするんですか?」
「そろそろ冷えてきただろうから後はデコレーションするだけだ。まあ、食べるのが明日でいいならそれでもいいが……」
「嫌ですよ。バースデーケーキなんですから、今日食べないと……そして明日も食べるんですよ。こんな大きなケーキふたりで食べるんですから、毎日食べますよ」
最初のコメントを投稿しよう!