料理の師匠

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「そうだな、色々してもらうよ。俺の誕生日は先月だからあと一年先だ。その頃にはお前は何でも作れるようになっていて今度こそ俺のために作ってもらおうかな」 「はい、頑張ります」 「田崎、誕生日おめでとう」  課長は私の頭をなでてくれた。でもそのまま私の頭を引っ張っておでこの上にキスを落とした。 「え?」 「このキスがプレゼントだ……俺のキスは変なプレゼントより高いぞ」 「な、何ですか、それ……」 「まあ、おでこだから許せよ。俺は五年ぶりにケーキが焼けた。すごく嬉しいんだ。そのきっかけをお前がくれた……ありがとう」 「……ど、どういたしまして……」  課長の照れたような微笑みを見て、目がそらせなかった。とても素敵だったのだ。 「もう二十二時だ。さあ、明日も仕事だ。先にシャワー行ってこい。後の片付けは俺がやってやる。誕生日だから特別だ」 「……はい。お言葉に甘えます。ありがとうございます」 「ああ」  課長のこと意識してしまいそうな自分がそこにいた。赤くなった頬を押さえて急いで部屋へ戻った。
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