課長の過去

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課長の過去

 次の土曜日の朝。  課長は何やら朝早くから近所の市場に買い出しへ行くからお前は寝ていていいぞと言われて、いつものように土曜日は昼近くまで寝ていた。  すると『ピンポーン』という玄関の音がして、てっきり課長が帰ってきたんだと思って寝ぼけ眼をこすりながら、モニターをろくに見もせずに返事した。 「はあい、今開けます」 「え?ここ沢島の家で合ってますよね?」  びっくりして、モニターを見てみると課長と仲良しの営業二部の春日課長がラフなスタイルで何か荷物を持って立っていた。  嘘でしょ、まずい……。びっくりして、思わずモニター画面をぶち切りした。しかしまた、『ピンポーン』という音がした。無視したとばれたら課長に怒られるかもしれないとふと思い出し、腹をくくってモニターを見た。  すると……驚くことに、画面に課長が映り込んだ。 「何してるんだ、春日?」 「あれ?沢島、部屋番号これであってる?」 「ああ、合ってる」 「ブザー鳴らしたら、女の子の声がした。俺の声を聞いたら、ぶち切りされた。説明してもらおうか」  課長はため息をついた。そして、画面に向かって言った。 「開けろ」
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