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「……はい」
私はゲートを開けて、走って部屋へ戻ると速攻で服を着替え、化粧室へまた走り、髪の毛をまとめて顔を洗った。軽く薄化粧をしていたら、ガチャっと音がしてただいまという声がした。
私は出て行くべきか、隠れるべきかわからず、とりあえず鏡に映る自分を確認して決心した。
「お、お帰りなさい……」
玄関に入った春日課長は私を見て固まった。
「ええー!?君、確か……沢島の所の新人君だよね?えっと……」
「あ、はい。田崎と申します。先ほどは慌てて挨拶もせず、切ってしまいすみませんでした。どうしたらいいかわからなくて、パニックになってしまいました……」
「おい、沢島。お前達そういうことなのか?教えてくれたって良かっただろ」
沢島課長は春日課長を無視して、スタスタと荷物を持って先に部屋へ入って行った。
驚くことに春日課長は来慣れているのか、靴を脱いで迷いなく棚からスリッパを出して履くと、後ろからリビングへ入ってきた。
冷蔵庫と向き合って買ってきたものを入れている課長に声を掛けた。
「コーヒーでいいですか?」
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