課長の過去

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「沢島は彼女の無罪を証明しようと色々していた。でも彼女はきっぱり転職を選んだ。沢島は自分に原因の一因にあるから一緒に辞めようと思ったらしいが、それだと取引のあった母親の実家の店にも迷惑がかかる。辞められなかったんだ」 「……」 「その後、沢島は精神的なショックからケーキが作れなくなってしまった。商品開発にいられなくなり人事へ……当時の人事課長は彼の背景も知っていたし、辞めていった彼女への罪悪感もあり、沢島を人事に入れたんだ」 「だから異動してきた頃、課長が全然笑わなくて怖かったって、みんな言っていたんですね」 「ああ、そう言ってた?彼女は退職と同時に、沢島と連絡を絶った。あいつはそれ以降様子がおかしくて、俺はずっと心配でここへ来ていたんだ」 「春日課長といるときは、沢島課長が家にいるときと同じ顔を見せるので、すごく仲がいいんだろうなと思ってこの間も聞いたんです」 「そうだったのか。君は沢島が好きなんだろ?」 「そんな違いますよ。ただ部屋を借りて料理を教えて頂いているだけです」
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