課長の過去

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「少し割れているかにとか、色々もらってきた。海鮮鍋にしたんだ。春日いいとき来たな。お前本当に鼻が効くんだな。前も作っているときに来たことあるよな」 「ああ、俺はお前の料理の鼻だけはきくんだ」 「ほんとにおそろしい鼻だな、春日」 「田崎さん、君も最初はこうやって俺みたいに餌付けされたんだろ?」 「……確かに否定できません」 「田崎さん、女の子なのに料理苦手だったの?こいつに習うってスイーツ作りじゃないんだろ?」  呆れた目をした沢島課長が言った。 「こいつは実家が料亭なのに、全く料理できないんだよ。食べさせてもらう専門だったらしい。結局ここでもあまり変わってないな」 「……恥ずかしい限りです、はい」 「そうなんだ。それはラッキーだね。こんなに料理がうまい男はまあほとんどいないだろうな。こいつは何しろ料理も、スイーツも作れるし……いやあ、俺が結婚したいくらいだよ」 「そうですよね、私もそう言ったんですよ、結婚したいって、あっ!」  私は口を押さえた。馬鹿じゃん私。春日課長がニヤニヤしてる。 「なに?沢島に田崎さんがプロポーズしたの?」
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