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自覚~沢島side2
ビールを俺達に注いだ田崎は、ケーキの皿とコーヒーカップをお盆に載せるとキッチンへ下がり、戻ってこなかった。
おそらく俺達に気を遣って、部屋へ戻ったんだろう。俺もそのほうが春日と話しやすいので彼女をそのままにしておいた。
「おい、沢島。お前、彼女をどうするつもりだ?」
「どうするつもりって、説明しただろ?」
俺を見ながらニヤリと笑っている。まあ、お見通しだろうな。
「彼女、お前のこと心配してたぞ。実は大分前からお前が篠田開発課長と仲が悪い理由を彼女に聞かれていたんだ」
は?何だと?俺は驚いて箸が止まった。春日の顔を見た。
「その時はびっくりしたよ。会社の近くのコンビニでたまたま一緒になって、突然、課長は開発課長と何か以前にあったんですか、仲が悪い理由を教えて下さいって俺に聞いてきたのさ」
「……あいつ、何やってんだ」
「いや、怒るなよ。どうやら、人事の先輩に聞いても誰も教えてくれないけど、みんな理由は知っていて、喧嘩していても知らぬフリしろって言われたみたいだぞ。どうしようもねえな、全く……」
「……そうだったのか。それでお前が教えたのか?」
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