自覚~沢島side2

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「でも、まずは鍋と米を食え。しっかり食べて頭をハッキリさせて俺と向き合おう」  そう言って、彼女の手を引くと、ダイニングテーブルの前に座らせた。  いそいそと彼女の前に鍋を運び、米も温めて並べてやった。  嬉しそうに笑ってる。子供みたいだな。でもこれが可愛いんだよ。俺も焼きが回ったな。  すごい勢いで食べ出した。むせてる。馬鹿か。よほどお腹がすいたんだな。  時間を見るともう三時だ。春日がいたから昼ご飯というか、朝ご飯も食べられず我慢していたんだろう。 「……美味しすぎる。これがダメなんですよ。だから私甘えてしまって、引越いつまでもできずにすみませんでした。料理も基礎を少し習ったし、何とか後は自分で料理のサイトを見ながら実践してみます」 「そうか、ぜひともこの台所で実践してくれ。俺が残業のときはお前が作っておいてくれたら俺はどれだけ楽だろう」 「そうじゃなくて、私は家を……」 「それは、却下。これからは俺の代わりに食事を作って恩返ししてもらう」
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