自覚~沢島side2

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「課長急に……やっぱり酔ってます?変ですよ。そうだ、隠しているの嫌だから言います。篠田課長と喧嘩していたのが心配で、課長の昔の話を少し春日課長に聞いてしまいました」 「……お前に関係ない」 「え?」 「そうだ、ケーキを食べる腹を残せよ」 「別腹って言葉を知らないんですか?どんなときも入りますからご心配には及びません」 「……そうかよ」 「はい。ここに来てから、私すっかり太っちゃった。桜井さんや武田君にも指摘されて、ちょっと反省しているんです」 「へえ」 「まるで、新婚の旦那さんみたいでしょ。美味しい料理を奥さんに作ってもらって食べまくって太る。まさか、それが課長に作ってもらって食べてたなんて知られたら生きていけません」 「ふーん」 「あ、あの。パウンドケーキ切ってきます」 「いや、いい」  そう言うと俺は立ち上がり、袋を持ってキッチンへ入った。  袋からリボンのかかった箱を持ち上げて、包装紙を外して箱を開けた。  すると見事なケーキが入っていた。横にカードがささっていた。  持ち上げてみると、懐かしい文字。有紀の字だった。
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