カボチャプリンの恩人

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カボチャプリンの恩人

 赤い服を着た中年の女性は、私を見ながらすごい勢いで話し出した。 「だから、ここまで買いに来たって言ってるでしょ。ここのコンビニチェーンの中でもこのスイーツは限定店しか扱ってないってわかってたから、わざわざ来たのよ。それなのに、売り切れって何なのよ?」 「申し訳ございません。二時過ぎのトラックで追加商品が入って来る予定です」 「は?二時にもう一度来いって言ってんの?」 「……い、いいえ。一応お伝えして……」 「……あんたね!」  服と同じ真っ赤な顔でレジの前にいる私へ怒鳴り散らす女性。後ろで店長は見て見ぬ振り。本当に最低。  とりあえず、頭を下げるしかないと思ったら、後ろからひとりの男性が彼女の目の前にスイーツのカップを見せた。そして言った。 「失礼。もし、このコンビニのスイーツがお好きならこの商品も美味しいですから召是非召し上がってみて下さい。特製カボチャのプリンです。こくがあって、甘すぎない。僕はこの辺のコンビニの中ではピカイチだと思います」  騒ぎ立てていた四十代くらいの女性が、シャツにチノパン、涼やかな顔の背の高いイケメンを見て、息をのんだ。
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