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婚約
幸せが二人を呼んでいた。しかし、何かが訪れようとしていた
「美鈴さん。動物園は楽しかったね」
「そうですね。サルや蛇、象など見る事ができて楽しかったです」
「そうだったね」
「私を自転車に乗せて重くなかったですか」
「ああ、重かったよ」
「もう、本当に失礼ね」
「はははは、ごめん、ごめん」
「もう、そういえば、明さん、動物園に行ってキリンの話したでしょ」
「ああ」
「首を長くして、そう言いましたよね。それでは、私がキリンの首を短くしてあげる」
「本当?」
「はい。私でよければ」
「ありがとう。その言葉を待っていたよ。婚約ということでいいのかな」
「はい」
「でも婚約はどうしてするのだろう?」
「特に決まりはないと思います。ただ、結婚できる年齢が決まっていますから
その時期になって結婚ですね」
「そうか」
「約束はできるはずです。私でいいですか?」
「もちろん、とてもうれしいよ」
「結婚できるようになったら、いいお嫁さんになれるかな?」
「ああ、なれるに決まっているよ」
「でも結婚は早くないか?」
「明さんが言い出したのじゃないですか?」
「まあ、そうだけど……」
「もう、女性に恥をかかせて」
「あ、ごめん泣かないで」
「恥ずかしかっただけだよ」
「本当?」
「ああ」
「じゃあ婚約旅行に行こうか?」
「そんなのあるのですか?」
「今、思いついたよ」
「私たち未成年よ」
「大丈夫さ。俺の所は親がいないし。あとは美鈴さんだけかな」
「う~ん行けるかな?お母さんになんて言おうかな」
「友達の家に泊まるとかは?」
「そうですね、いい方法ですね。どこに行きますか」
「そうだね。あまり遠いところには行けないし。乗り物に乗るお金もないしな
そもそも高校生だから旅館には泊まれないよね」
「近くでいいのではないですか。自転車で行けるところとかは?」
「でも新婚旅行はどうするのさ?」
「またすればいいじゃないですか」
「そうだね。その時にも旅行に行けるね」
「はい」
「そういえば、母が舶来品でテントという名前の物を持っていて、そのテントの中で、一緒に寝ることができるみたいです」
「そんな物があるんだね」
「はい。日本では珍しくて」
「そうなんだね。そうか、じゃあそうしよう」
「どこか広い広場がいいですね。また、お弁当を持ってきますから。今度はオレンジジュースを持ってきます。頑張って作ってきますからね」
「楽しみだね。そうだ、美鈴さんと初めて出会った広場がいいんじゃないかな
広いしね。あの時は美鈴さんが財布をなくしていて、一緒に探したよね。懐かしいな。溝に落としていたよね。そそっかしいなと思ったよ」
「あまり意地悪を言わないで下さい。それでは広場でテント張りましょう」
「恥ずかしくないかな?」
「大丈夫です」
「そうだね」
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