オレンジジュース

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オレンジジュース

 すっかり、仲良くなった、明と美鈴はデートに行きたかった。 「美鈴さん、上野動物園にいってみない」 「少し遠くないですか」 「自転車で二人乗りだよ」 「明さん大変でしょ」 「大丈夫だよ。二人で行くのは初めてだね」 「そうですね、楽しみです」 「着いたよ。一時間もかかったよ」 「重かったでしょ」 「ああ、途中で倒れるかと思った」 「もう、失礼ね」 「冗談だよ」  動物園までの距離は遠かったが、二人の距離は近かった。 「明さん、象をみたい」 「ああ、人気者だもんな」 「わあ、大きい」 「餌を食べてるね。本当に大きい。美鈴さんより大きいよ」 「もうどこが?」 「あちこち」 「いやらしい」 「次は何かな?」 「キツネを見たい」 「キツネはね、騙すんだよ」 「知っています」 「僕も美鈴さんに騙されたかな?」 「私が騙されたのです」 ハハハハ 「楽しいね」 「はい」 「蛇を観てみようか?」 「いや、怖いです……」 「大きいな」 「ええ、こんなに大きいの?」 「美鈴さんより大きいな」 「もう、また変な事を考えてる」 ハハハハ 「猿はどうですか」 「いいね」 「明さんより賢いですよ」 「こらこら、僕も頭はいいよ」 「本当かしら?」 「そろそろお昼にしようか?お弁当を持ってきてよ。どんな、お弁当かな?」 「上手なんですよ」 「本当かな、梅干しだけじゃない?」 「ちゃんと色々入っています」 「おお、美味しい」 「そうでしょう。ほらお茶も。オレンジジュースがよかったですか」 「お茶があうよ。でも、オレンジジュースは今度にしよう」 「はい」 「ごちそうさま、美味しかった」 「美鈴さんがこんなに料理が美味しいなんて、知らなかったな」 「そうでしょう。へへへ」 「うん」 「僕のお嫁さんになれるかな」 「駄目です」 「な~んだ」  二人の幸せは絶頂を迎えた。そして、明は勝負にでた。 「じゃあ食べ終わったところで、何をみる」 「キリンが見たいです」 「そうだな。よし行こう。本当に首が長いなあ」 「わあ」 「美鈴さんがお嫁さんになってくれる事を、首を長くして待っているよ」 「もう、恥ずかしい事を言わないでください。冗談ばっかり」 「本当に婚約者になってもらえないかな」 「恥ずかしいから少し考えさせえてください」 「どうした、急に黙って」 「うううん」 「さっきの話は本当だよ」 「恥ずかしいです」 「じゃあ、返事を待っているよ」 「はい」 じゃあそろそろ自転車で帰ろうか
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