約束の場所

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約束の場所

 明と美鈴は婚約旅行で、一生懸命、テントを張っていた。 「お~い、どうやって屋根を張るんだ? 「本当ですね」  張ること2時間が経過した。 「こんな感じかな?」 「う~ん、倒れそうですけど大丈夫ですか?」 「まあ、なんとかなるさ」 「そうですね」 「もう遅くなりましたから、お弁当を食べましょう」 「もしかして本当にオレンジジュースを持ってきたの?」 「だって持ってきて下さいって言ったじゃないですか」 「確かに言ったけどさ、お弁当はお茶だよ」 「もうひどい。オレンジジュースがいいというから、手作りで作ってきたのに もう食べさせてあげない」 「ああ、ごめんごめん勘違いしていた」 「最近はお弁当にオレンジジュースが流行しているんだよ。そうだよ、そうだよ」 「もう今から遅い。今日はお弁当抜きよ」 「ええ、許して」 「わかりました。そのかわり夜は強く抱きしめてね」 「わかったよ。でも、そんな恥ずかしいこと言うなよ」 「男の人がそんな情けないこと言ったら駄目ですよ」 「そうか、仕方ない」 「仕方ないですか?そうですか。それなら帰ります」 「ああ、ごめん泣かないで」 「へへへ嘘泣き」 「そうか騙したなあ。でも楽しいよ」 「夜は焚火しないと暗いね」 「もう、早くから準備してきてよ」 「ごめんね。今、火が点いたよ」 「じゃあ、明さん。話をしましょう」 「美鈴さん将来は何になりたいの?」 「看護婦さんかな」 「美鈴さんの注射は痛そうだな」 「明さんには特に痛くしてあげる」 「やめてくれよ。ハハハハ」 「明さんは?」 「そうだな警察官かな。美鈴を逮捕するぞ」 「ええ、私は何もしていないですよ」 「美鈴さんの事を好きにさせたじゃないか」 「それは私に魅力があったからでしょ」 「よく自分で言うよ」 「夢があるっていいね。でも一番は美鈴さんと結婚して幸せになることかな」 「はい」 「いいお嫁さんになれるかな?子供は何人つくりますか?」 「う~ん10人くらい」 「子供は可愛いからいいですけど、ちゃんとお給料もってきてくれるかな 騙しそう」 「そんな事はないよ」 「へそくりとか?」 「ひどいなあ、ハハハハ」 「浮気もしそう」 「今日は怖いな。でも、美鈴さんが一番好きだよ」 「本当かしら?私たち幸せになれるかな」 「なれるに決まっているだろ」 「ほら、星がでてるよ。芝生の横になろうか」 「はい」 「星が綺麗だね。美鈴さんもきれいだよ」 「そんな恥ずかしい事いわないで」 「本当だよ」 「ありがとう 「明さんも背が高くてハンサムです。こんな私でいいのかな?」 「もちろんさ」 ここは思い出の場所だね 「そうですね。そばで一緒に過ごすして、よかった」 「ここの場所は一生忘れないね」 「はい」 「あの星はひときわ輝いているけど、ふたりの星だといいな」 「本当ですね」 「そろそろ寝ようか」 「そうね」 「テントの中は狭いから、もっと、近くに来てください」 「少し恥ずかしいな」 「明さん、強く抱きしめて」 「明さん、どうしたの黙っていて」 次の日の朝 「朝ごはん食べましょう。パンを持ってきたの。食べる?もう黙っていないで あの木の下で食べましょう。私は明さんがそばにいてくれただけで幸せよ」 「ここの木の下はいい感じだね。眺めもいいし。楽しいしね」 「また、ここに来れるといいです」 「必ず来れるさ。ここで結婚式を挙げよう」 「はい」 「約束だよ」 「はい」 「そろそろ帰りましょう。夜のことは忘れてね」 「楽しかったよ、また来れるといいね」 自転車で大変だけど帰ろうか 「もう少しやせないと」 「それは失礼でしょ」 「じゃあ、ほら、左右に揺らすぞ」 「キャ、こわい。でも、これで婚約者ね 「そうだね」 「そうそう、その笑顔。明さんらしいよ」 「ああ。着いたよ、じゃあね」 いっしょに、自転車で帰ろう
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