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そんなわけで、私のもちものが増えた。
勇者ノリミのステータス
武器:なし(家では包丁)
防具:なし(家ではおなべのふた)
その他装備品:なし
もちもの:GPSアプリURLの紙・白い粉(?)・カメラ付きスマートウォッチ
レベル:3
所持金:900円
今、包丁やおなべのふたを持っていたら、確実怪しい女だもんね。逮捕されちゃうよ。だからそれは家に置いてある。実際の戦闘で使ったらほぼ100%の勝利は確約されているが、間違いなく逮捕されて刑務所行きで人生詰む。まだ若いし、あんなクズ夫を刺して人生ゲームオーバーにはなりたくない。
さっき金さんのところで高い買い物をしたので、所持金が大幅ダウンした。昨日大吉で半額券を使って飲食して1100円利用したため、残金は900円。
「もうほとんど無一文ですよ。900円しかなくなってしまいました…」
「900円あれば2週間はしのげます」
すごいな金さん。どうやって過ごすのか気になるよ。
「節約術すごいですね」
「俺の家は驚くほど貧乏でしたからね。それこそ道端に落ちているものはなんでもお宝でした。この国は豊かなようで貧しい国です。幼少期から血を吐くような思いで生きてきた人間からすれば、まだまだ使えるものをすぐに売ったり捨てたりする愚行そのものが悪だと言えましょう」
どんな生活してきたの!?
「まあ俺の話はどうでもいいです。900円でほぼ無一文などと言ってはいけません。また必要なものがあれば、その金額以内でも商品はお売りできますから」
金さんはまだ私に物を売りつける気でいるようだ。
「ひとまず今買ったアイテムを役立ててください」
金さんに隠しカメラ付きスマートウォッチの使い方の説明を受けていると、私のスマートフォンにメッセージの通知が入ってきた。
――よかったら大吉で飲みませんか? ご馳走します。
「あ…航大さんからです。大吉で飲もう、と」
「それはいいですね。行きましょう」
金さんも立ち上がった。一緒に来る気でいる。まあ、仲間だもんね。
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