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「紀美、来週こそ面白い企画で俺をあっと言わせてくれよ!!」
同じ学年の諸見里社長は豪快に笑ってくれた。ダークブラウンの短めの髪をソフトモヒカンにした長身のイケメンで、女性にさぞモテそうな人だった。最初から名前呼びして馴れ馴れしいと思っていたが、距離を詰めるための作戦らしい。
建真もこんな感じだった。距離を詰めるのが上手くて人たらし。家庭内で見せる顔と外の顔はまったく違う。諸見里社長のことを悪く言いたくないけれど、こういうタイプは案外家で高慢なのかも。
「紀美って今日ヒマ?」
「あ、えっと…家に帰って主人の食事の用意が…」
「えーなにそれ。子供いなかったよな? 旦那が帰ってくるのは何時?」
「多分21時くらいかと…」
「なーんだそんな時間の帰宅だったら、どうせ外で食ってるよ。今日はアプリメイクの懇親会だ! 他の会社の人間も呼ぶから全員参加な。特に紀美は来週中にはしっかりアプリの企画書を作ってもらわなきゃいけないから、アイディア交換会ってことで!」
というわけで建真にご飯を作れなくなった連絡をしろ、と社長命令されてしまった。
どうせ作っても帰ってほとんど食べてくれないし、無かったら文句言うけど今日1日くらい、別にいいよね。
建真に連絡を入れ、諸見里社長の言う通り懇親会に出席した。アプリメイクは秋葉原の一等地にオフィスがあるけれど、一歩裏路地に入れば雑多なお店が多く存在している。いかがわしそうなお店からラーメン店など様々だ。
そんな懇親会で私は出会ってしまった。
これから始まる冒険の旅を共にする、不思議な仲間と――
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