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私の家庭環境は裕福とは程遠く、蒸発していなくなった夫のお義母さんと娘の三人暮らし。
「華さん、朝食は食べたかね?」
「お義母さん、先ほど食べました。ねぇ、美瑠」
「おばあちゃん、だいじょうぶ?」
記憶がまだらになりかけているお義母さんと四歳の美瑠との暮らしは手がかかることばかり。
「ねぇ、おかあさん雪遊びしようよ!!」
遊びたいと言うとスイッチが入ったように遊ぼう遊ぼうと繰り返す美瑠に、お義母さんが笑って。
「おかあさんは忙しいから、おばあちゃんと遊ぼう?いいでしょ?」
お義母さんが美瑠の面倒を見てくれるのはとてもありがたいのですが、余計なことを美瑠に言うのよ。
「美瑠は磯山家の娘なんだからね」
孫娘にましてや四歳の子にそんなことを毎回言って聞かせて。
「おかあさん、忙しいからおばあちゃんに遊んでもらいなさい」
「はーい。行こう、おばあちゃん!!」
二人を平屋の玄関から見送りながら、私はいつものように冷たい言葉を吐く。
「連れ子とお義母さんの世話係じゃないわよ!!私」
夫の連れ子である美瑠を可愛いと思ったことはあれど、お義母さんのことは違う。
それでも、離れられないのは、莫大なお金があるからそう口癖のように言っているお義母さんの言葉を信じていたから。
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