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女性警官がアタシの所に来て別の部屋で聞き込むのだと美瑠と離れ離れにさせられた。
「磯山良子さん、今日は何月何日ですか?」
(十二月十五日だけど)
「十一月、いや一月だったかね」
「今日は十二月十五日です。次に質問したいのは、華さんの不在をあなたは本当にわからなかったのですか?」
この警察官は疑っている。いくら、孫娘が誤ってしてしまったと言っても。
「わからなかったです。いつも、華さんからはいなくなれとばかり言われていて・・・」
哀れな老人の証言として片付けてくれればいいのに。
「おかしいですね。以前住んでいた平屋に住む住人からは、罵声こそ聞こえてはいたがそこまでではなかったと聞いています」
もっと、大声で叱ってくれればあの人の非がすんなりと認められたのに・・・・
「そうだったかしら」
なおもシラを切ろうとするアタシに、警官は話し続ける。
「おかしいんですよね。華さんの指紋は外側しか検出されませんでした。美瑠さんが誤って閉めたのなら、美瑠さんの指紋も内側になければならないのに」
ハンカチで拭いてしまった。きっと今頃使用したハンカチを探しているだろう。
「キレイ好きなもので・・・」
そう言いかけて口をつぐむ。アタシがベランダに向かっていたと言っているようではないか。
女性警官はスマートフォンをアタシに見せつけてきた。
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