愛してるのは君なのに ♡★

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愛してるのは君なのに ♡★

 楽しく幸せな生活は、突然終わりを突きつけられた。 海の向こうの遠い国で戦争が勃発して、アレックスに召集がかけられた。兵器として駆り出されることになったのだ。 「あの時、僕が彼の身柄を引き取ることで合意したんだ。彼が戦地に行く必要なんてないはずだっ」  僕は令状をわざわざ持参した自衛官に噛みついた。この国は昔の法律をかろうじて守ってはいるけれど、今では形骸化が進んで、武器や兵器ロボットを送り込む後方支援は暗黙の了解となっている。 「彼はアンドロイドだろ。殺人兵器じゃないんだ」 「知らないとは言わせませんよ。あなたも本当は気づいているんでしょう? あれは当時の最新型の兵器ロボット、M-6(シックス)だってことに」 2f99f9be-b202-428d-b57b-79a9ab5d0725  挑発的な自衛官の口調は、僕をますます苛立たせる。行き場のない怒りに僕は歯がみした。 M-6は軍事兵器として量産されているロボットだ。 その中でも最新のアンドロイド型は、醜悪なデザインが多い兵器ロボとは一線を画している。 日常でも非戦闘型アンドロイドに劣らないパフォーマンスであるにも関わらず、身辺警護や諜報(スパイ)活動をさせるのに最適なほど高性能で、汎用性が高く人気がある。 次世代のM-7(セブン)に、最近不具合が見つかってリコールされたばかりなので、M-6の需要が逼迫しているらしい。 「そんなのは、僕らの知ったことじゃない」 渋る自衛官を追い返し、ふたりになるとアレックスが僕の隣にやって来た。 「君は絶対に渡さないからな」 「未來。これは仕事なんだ」 「嫌だ。君は僕のそばにいろ。僕の言うことは何でも聞くって言ったじゃないか」  僕は子どもみたいにアレックスに詰め寄った。 「国の命令に背くわけにはいかないんだ。そうプログラミングされてる」  彼は微笑んで自分のこめかみを指差した。 「アレックス。僕を一人にしないでよ…」  僕は彼の胸に飛び込んだ。 温かい腕に包まれて、僕は頬をすり寄せた。
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