雪のかけら

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 「・・・どういうことだ」 「雪女の本体に、俺の居所が知られたってことだよ。ロックオンされたんだ。引き離されても、何かのつながりがあるんだろうな。慌てて溶かそうとしたら、三日後に回収に伺う。じたばたするなと信じられないくらい冷たい声で、言うんだ。俺の雪女が。そんなこと言う子じゃなかったのに」 「今日がその三日目ってわけだ」 「多分来る。だんだん寒くなってきた。お前のことは守り通す。今日一日預かってくれ」 そう言って、電話は切れた。 冷凍庫を開けてみる。さおりんは、目を丸くして俺を見上げている。 かわいい。このかわいい何かを、ずっと手元に置いておきたい。大西の気持ちはよくわかる。大西は守れるのか? 俺を。小さな雪女を。 夜が明けてきた。俺はさおりんをボウルごとテーブルの上に出した。ボウルの中には氷を入れていたから、さおりんは氷の塊に腰かけて、なにやら鼻歌を歌っていた。テーブルの上には個人情報が漏れるものは置いていない。俺はさおりんを眺めながら朝食を食べた。 さおりんは俺にウィンクした。俺は後ろ髪を引かれる思いでさおりんを冷凍庫に戻して出勤した。途中で一度立ち眩みがしたのはいくらか生気を吸い取られていたからだろう。 オフィスで仕事をしていたら強烈な冷気が感じられた。 「あれ、雪だ。」 「雪の予報なんて出てたっけ。うわ、すごく降り出したぞ」 と、オフィスがざわついた 来たんだな。と俺は思った。大西、がんばれよ。 交通機関が麻痺するかもしれないから、業務を早めに切り上げて帰宅するようにと伝達があった。俺はコートを羽織り、足早に家に向かった。
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