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掘り炬燵に炭を入れるのが興味深かったらしく、律はあれこれ聞いてきた。寒いときはちゃなこがもぐり込むと言うと、いかにもそれを待ち遠しそうな顔をする。
うちの家族に加えて坂本と岡田、もちろん律、兄弟もそれぞれ友達を呼んだようだ。新年会だって親父は言った。
律は俺の家の中にもだいぶ慣れてきたみたいで、案内しなくても移動できるようになった。今では親と並んで台所にすら立つ。だから俺も自然と料理や片付けの手伝いをするようになった。律くんのおかげだねと母親は言う。
律の目のことを聞いた弟の友達が持って来た、ピースにおうとつのあるパズルゲームで遊んだ。中学生に図形についてのうんちくをたれる律。
煮物にいなり寿司、ちゃわんむし、ひたし豆と数の子を和えたもの。いつもどおりの地味なメニューを、律は「とてもおいしいです」と言いながらすいすいと食べる。
食後、こっそり二階の部屋でみじかいセックスをした。みんなは下で、動画配信サービスのホラー映画を観ているはずだ。こたつの中で手をふれあわせたり足を小突き合っていたら、がまんできなくなった。上の服は着けたままで、済んでから暑くて脱ぎ捨てた。
全裸でベッドの上から窓に乗り出して、むきだしの腕を外気にむかってのばす。律の手首の、青白く透けた血管。ならんだ尻。
腕の内側に、結晶がぱさ、と乗っかる。
「めっちゃちっちゃいピアスみたい」
「硬い感じ?」
「金属っぽい。本当は氷だけど」
「そういえば、史緒はいつも俺の前でピアスをつけているのか?」
「学校にはつけて行かない。今度つけるから、好きなだけさわれ」
雪の結晶は、体温で一瞬で水に変わる。つめたい、と言った。
「雪が降ってると、いつもより静かな気がするよなー」
「ああ…『しんしんと』、と言うしな」
耳の中だけにひびく音が聞こえるかのようだ。
「つもってる?」
律の息が白く浮かんで、すぐに消えて、また浮かぶ。
「このあたりはあんまり降らないけど、今日はつもってるよ」
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