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そのことは、それっきりになっていた。坂本たちとの会話に上ることもなかったし、教室で併設の盲学校のことが話題になることもなかった。
二年に進級して、さっそくの進路調査やうっとうしい三者面談、部活で新入生を指導したりなんかして、変わりない日々がまた埋もれていく。
朝はたいてい母親に起こされる。ねぼけまなこで、中学生の弟と並んで朝めしをかっ食らう。両親や弟と洗面所やトイレを取り合い、ばたばたしながら家を出る。
自転車を四十分こいで、学校に着く。友達とじゃれあいながら授業をこなす。公立校には学食なんてないから、みんなして弁当を食う。教室や校庭のベンチで。うちのクラスの女子はベランダで食うのがブームらしい。ひそひそ話したりくすくす笑ったりしながら。女の考えることはわからないって俺は思ってる。ちなみに坂本は毎日じゃないけど、春休みにプレゼントをくれたという女の子とどこかに消えるようになった。四月になってからのちょっとした変化。
午後また授業を受けて、菓子パンか何かを食べてから部活。買い食いしながら帰って、今度は夕飯。こうして考えると俺、食ってばっか。男子高校生は腹が減る。
リビングでじいちゃんたちとテレビを観ながらだらだらする。眠くなったら寝る。
そういう日々。スイミングが部活に変わったりはしたけど、基本的に小学生の頃から変わらない生活。保育園から高校までいっしょのやつも何人かいる、そのくらいせまくて人の少ない地域の中で、同じところを回り続ける。
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