3人が本棚に入れています
本棚に追加
/21ページ
しみじみとそんな気持ちに浸っていた、そんな時だった。
「……あれ?」
ヒロトは首を捻る。
いつものようにふたりで鍵を回そうとするのだが、何故か鍵が動かない。
「ん? なんか今日は固いな」
「本気でやろう、せーのっ」
タイミングを合わせ、本気で力を込める。それでも長方形の鍵はびくともしない。今まではひとりだけでも少しずつ動いていたというのに、それは動く箇所などないかのように固まっている。
「おかしいな……も、もう一回だ!」
「う、うん!」
大きく息を吸い、全身全霊で腕に力を込める。
動かない。
外への鍵は、微動だにしない。
「……おい、やばいよ」
「……どうしよう」
現実逃避しようとしても、この分かりやすい状況がそれを許してはくれない。
お互い、本当は何が起きているのか知っている。
不安がどんどん肥大化し、部屋の中に広がっていく。
最初のコメントを投稿しよう!