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「えっ」
理解が追いつかないまま、彼らは目を丸くする。
「ここ、どこだ? なんで俺たち」
「確か、あの貝殻が開いたんだよね。それから……?」
ヒロトは黒っぽい足場を触ってみた。コンクリートと木の床の中間のような材質だ。天井からうっすらと何かの光が透けており、若干薄暗いものの周囲は確認できる。洞穴のような空間で、広さは学校の教室ほど。浜の開放感とは正反対の密室がそこにあった。
タクヤは困惑を隠しきれないまま尋ねる。
「海にいたのに……どうなってんだこれ? 瞬間移動ってやつ?」
「もしかしたら、あの貝の中なのかも。開けてからこうなったし」
「マジかよ? やばいよな、どうやって帰ろう」
「……あっ! 見てタクヤ!」
背後を振り返ったヒロトは、突き当たりの壁を指差した。閉ざされたガレージのようになっており、あの特徴的な模様と出っ張りが付いている。ちょうどマンホールの中央に、煉瓦をひとつ置いたような大きさだ。
「あっ、これって外のやつじゃん!」
「多分これじゃない?」
「ああ!」
急いでタクヤは両手でそれを掴む。繊維質で、弾力のある綱のような感触だ。それなりに施錠は固い。少しずつ動いてはいるが、小学四年生の腕力ではなかなか進まない。
「んんんん……くそ、重いぞ!」
「僕が下の方持つよ。タクヤは上の方お願い」
「ああなるほど、さすがヒロト!」
「せーのっ」
役割分担をし、彼らは力を合わせて鍵を回す。
ガコンと音が鳴った瞬間、ふたりは光に包まれた。
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