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奴が追って来るのが分かった。
路地裏。行き止まり。振り返るとすでに奴はそこにいた。
俺は辺りを見渡した。使えるものは無さそうだ。
「この間の借りを返しにきたぜ」
奴が言った。
次の瞬間に奴は襲い掛かって来た。
俺は念のためにと隠し持っていたナイフをポケットから取り出し、奴に向けた。
最初の時と同じように胸元へナイフを突き立てる。
刃先は確かに奴の胸の中に吸い込まれていた。
それでも力を込めた。お願いだから死んでくれ、と願いながら。
奴は倒れた。バタリ、と。
「今度こそ。今度こそ、終わりだ」
俺はそう言った。
奴の死体を残して立ち去ろうとする。
背後に気配。
振り返る。
奴が立ち上がっていた。
何事も無かったかのように。
胸元のナイフは消えていた。
やっぱりお前は不死身なのか。
俺は思わず、ポーズメニューを押した。
何も見えずに進めようと決めていたのだが、もう無理だ。
攻略サイトをスマホで検索する。
ああ、なるほど。
奴は頭を潰さないと何度でも蘇ってくるのか。
こんな簡単なことに気が付かないなんて。
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