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どうしてまた生き返ってくるんだ。
殺したはずなのに。
完全に殺したはずなのに。
これで奴が生き返ってくるのは四度目だ。四度目。
最初に奴を殺したのは、ナイフだった。
抵抗する奴をなんとか抑えつけ、心臓を一突き。
奴はそれまでの抵抗が嘘であったかのように、がくりと膝を折り低いうめき声を上げた。
そのまま白目を向いて倒れた。バタリ、と。
うつ伏せの体から真っ赤な血が広がった。
「これで終わりだ」
俺はそうつぶやいた。
けれど、奴は生き返った。
何度も、何度も。
車で轢いた。
ビルの屋上から突き落した。
ガソリンをかけ、火を点けた。
奴は不死身だ。
そう考えるしか無い。
俺は恐怖で震えた。
俺が街中を歩いていると、遠くに奴の姿が見えた。
まさかな、と俺はつい声に出していた。
進めていた歩を止め、奴の姿をじっと観察する。
遠くにあった奴の姿が徐々に鮮明になってくる。
震えた、震えた。
奴もこちらに気が付いたようで、にやりと笑った。
俺は奴に背を向けた。走る。走る。
怖かった。奴の笑顔を見たら、思わず逃げてしまったのだ。
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