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 と、大きな鏡を示した。  ——これが、わたくし?  鏡の中には、柔らかい金色の巻毛のすらりとした女性がいた。大きな目の奥の青い瞳、コバルトブルーのドレスがその瞳の青さを強調してとても美しい。  自分がこんなに華やかな姿になれるなんて信じられなかった。ナリスリア国ではいつも、『ドブネズミ』とみんなに陰口を叩かれるほどだったのだ。 「ほんとうにこれが、わたくし⋯⋯?」  信じられない思いで鏡の中の自分の姿を見つめていると、リオ・ナバ王の姿が、ふと鏡に入ってきた。  フウルの後ろに立つ。  そして、にっこりと微笑んで言った。 「ではこれから、我が国を案内しよう——」 ***** 「案内⋯⋯、ですか?」  フウルはびっくりして聞き返した。 「ああ、そうだ。馬車で出かけようと思っているが——、嫌か?」 「いいえ、もちろん嫌ではないです」  慌てて首を横に振る。  だけど心の中は、「わたくしの処刑はいつだろう⋯⋯」と不安でいっぱいだった。  ——これもやっぱり処刑前のお心遣いなのかな? 陛下はものすごくお優しい方なんだ⋯⋯。  城の外へ出ると、豪華な白い六頭建ての立派な馬車が待っていた。
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