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こんなふうに首が熱くなったのは初めてのことだった。フウルは成長が遅い方だ。今まで一度も心惹かれるアルファに出会ったことはないし、どこかのアルファがフウルのフェロモンに反応したこともなかった。
「国王陛下のご出発——!」
従者たちの声が聞こえて、馬車がゆっくりと動き出す。
馬車の後ろには大勢の従者たちが付き従っていた。
しばらく走るとリオ・ナバ王が窓の外を示した。
「このあたりは騎士団の家族が住む地域だ」
美しい家々が並んでいた。煙突からは料理をしているのだろうか、白い煙が立ち上っている。
またしばらく走ると、緑の木々が見えてきた。
「カカオ農園だ」
「⋯⋯ここだけ緑がいっぱいですね」
「土地改良をしたんだ」
「そうなんですね⋯⋯」
すごいな、と思った。きっとものすごい努力の賜物なのだろう。
ラドリア国の村々を白い馬車と従者の一団がのんびりと進んでいく。
リオ・ナバ王は国民に大人気らしい。人々が笑顔で、「陛下!」と手を振った。
フウルは束の間、自分が処刑を待つ身だということを忘れた。心地よい馬車の揺れを感じながら、呟いた。
「とっても素敵な国ですね⋯⋯」
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