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意味が分からない。
チャッカマン程度の火力で氷点下にある雪が溶けるはずもなく、カズ君の手袋をチリッと焦がしただけだったらしい。
今度こそ謝るかと思えば『きれいな ゆき ふんでいい けん』登場である。
しかも薄ピンクの紙に書かれていた。
私が好きだった色だ。媚び媚びだ。
きっとおばさんに「この紙にこう書いたらいいよ」と助言されたに違いない。
それが透けて見えたから、よけい許しがたかった。
機嫌を取ろうと小細工するよりも誠実に謝って欲しかった。
(ごめんって言えばいいだけなのに!)
きれいな薄ピンクが、怒りに油を注いでく。
「カズ君が悪いもん! カズ君は毎日雪遊びできるのに。私は今だけなのに!」
「だからだよ!」
「?」
「今しか一緒に遊べないだろ。だからもう怒んなよ」
「ごめんねは?」
「はぁ?」
「ごめんねしないと遊ばない! あと私、ユウキだから! ユキじゃない!」
私用だと強調したくて『ユキせんよう』と書いたのかもしれないけど、完全に裏目だった。
「うるせー! ちょっと書くの間違っただけだし!」
この辺りで、壁に徹していたはずの大人たちが堪えきれずに笑い出す。
とたんに私たちは気まずくなって、ケンカしてたのが嘘みたいに、二人そろって二階に逃げたんだった。
なんだかんだ仲は良かったと思う。
成長して疎遠になっても、会えば“なんだかんだな距離“に戻れると思っていた。
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