2. 再会

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2. 再会

 お正月の北海道はまだまだ雪景色だ。  大学の後期試験に向けて参考書を開いていたものの、夕日が雪と木立を染めるのに見とれていたら、電車は駅に着いていた。    新札幌駅からタクシーに乗り、行儀よく並んだ街並みが白にうまった様子を眺める。  かつてソリ遊びした公園が見え、懐かしい記憶をたどっているうちにカズ君の実家へたどり着いた。  暖房がきいた車内から一歩踏みだしただけで全身が震える。  家は目の前だからと手袋を外したままなのを後悔しつつ、玄関前の階段に足をかけた。  一部が氷になっているから、滑り止めのマットが敷いてあるのに、気を抜くと転びそうだ。  子どもの頃は駆け上がっていたのが信じられない。    ほんの十段をやっと上りきり、インターホンを押した。  「開いてるわよー」とおばさんの明るい声がして、やっと肩の力が抜ける。    昔より建て付けの調子がイマイチなドアを開け「お邪魔します」と足を踏み入れたら、おじさんとおばさんが二重玄関の内ドアを開けてくれた。   「友希(ゆうき)ちゃん! 大変だったでしょう。飛行機遅れたんだもんね。なのにお父さんお酒飲んじゃって、車出せなくてごめんね」 「つい気ぃ抜けてさぁ」  穏やかな二人の笑顔を見るとホッとする。  でも、不意にドアの隙間からお線香の匂いがして、顔の筋肉が引きつった。
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