王立公園の待ち人

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 不条理な物事というのは何も特別なことではない。  納得できないことや筋の通らない話などその辺にいくらでも転がっている。あまりにもありきたり過ぎて、いちいち気にしていたら日が暮れてしまうだろう。  しかし――そんな不条理にも許すことができない不条理というものがある。  《残され人》――。  死んだまま生きているという呪われた存在。  この忌むべきモノはすでに死んでいるのにも関わらず街の中を平然と歩きまわり、何食わぬ顔で社会に溶け込んで暮らしている。   生ある者に対する冒涜以外の何者でもない。  にもかかわらず――だ。  ヴァチカンは彼らの魂を救うのだという。  愚かなること甚だしい。  魂というのは生きている者にこそ在るものだ。虚ろなる死体に魂はない。  キョウジから渡されたリストに目を落とす。  マディ・クレバンス。  オリヴィエ・ソレル。  そしてルアンナ・アーテス。  キョウジはこの中の誰かが《残され人》だと言っていた。彼は誰が生きる屍なのか特定する気でいるらしいが、はたしてその必要があるのだろうか。  候補に挙がるということは他の二人も何か問題があるのではないか。放っておけば生きる屍にならないとも限らない。 〝《残され人》を処分する〟  これは――神が私に託したことなのだ。  《残され人》を速やかに見つけだし、排除すること。それが私に与えられた使命であり、私が行うべき勤めなのだ。
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