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娼婦という職業の是非はともかく、特定の娼婦を見つけるのは難しい。
イーストエンドだけでも八千人以上の娼婦がいると言われているし、小遣い稼ぎの主婦なども含めたらさらに多くなる。
そのうえ間の悪いことに、いまイーストエンド界隈では娼婦を標的にした猟奇的な殺人事件が頻発しているのだ。
切り裂きジャックというのがその犯人の名前だ。
その犯行は残忍で、彼に殺された被害者は身体を切り刻まれ、惨たらしい状態で発見されている。
陰惨たるこの事件が広く世間に知られることになったのは、その異常性とともに、ジャック本人が新聞社やロンドン警視庁に犯行に関する手紙を送り付けたからだ。発行部数を増やそうとする新聞各社が派手に書き立てたせいで、ロンドン市民は恐怖のどん底に突き落とされている。
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