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「お姉ちゃん!」
声を荒げて、先程より強く姉を揺さぶると、姉は死んだように閉じていた眼をゆっくり開いた。
「ん、、、え?」
姉はびっくりして、口をぱくぱくと動かしていた。
「実乃梨、、、どうして、部屋に」
「そんなことどうでもいいの!」
姉の声を遮り、叫ぶ。
部屋に静寂が訪れた。
「これ、なに?」
薬の入った紙袋を、震えた手で姉に見せる。
「見たの、これ。」
姉の声は、思いの外力強かった。
まるで、いつかこうなることが分かっていたみたいに。
「うん。」
「そっか、、、」
姉は、真っ直ぐな瞳で私を見つめた。
真っ黒な、カラスのような瞳。
「お母さん達には、内緒にできる?」
こくり、と頷く。
ここで頷かないと、きっと姉は何も話してくれない。
姉は一つ深呼吸をして、答えた。
「この薬は、奇跡の力を強くするの。」
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