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三
「お姉ちゃん、、、そんなことのために、、、。」
「そんなことなんかじゃない!!」
姉が、初めて声を荒げた。
姉は、私に初めて怒鳴った。
ビクリ、と肩が上がる。
「私が弱かったら、誰が家を継ぐの!?私が弱かったら、誰が両親を安心させられるの!?どうせ実乃梨は、、、!」
そこまで来て、姉ははっと気づき、強く下唇を噛んだ。
噛み締められた唇は、真っ赤に染まっていた。
姉の言おうとしていた言葉が、私には分かっていた。
"どうせ実乃梨は弱者だから、私の気持ちなんて分からない!"
別に今更傷つかない。
逆に逆上しても最後まで言わなかった姉は優しい人だと思った。
弱者だから、弱者なのに。
そう言われるのはもう慣れた。
でも、、、。
姉の両肩に手をおいて、話す。
気づけば泣いていた。
「たとえお姉ちゃんより弱くても、、、頼もしくなくっても、、、相談して欲しかったよぉ、、、。」
静まった部屋に、私のすすり泣きだけが響いていた。
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