走れメロンちゃん

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 お姉さん 『どうにか隣の逗子から鎌倉まで電車で来たんですけどもう、乗り継ぎの電車も止まってしまって。車も大渋滞でタクシーもつかまらないし。バスもいつ来るかわからないって言われて。あたしどうしても行かなきゃいけない所があるんです』  隣にいる彼氏のようなスーツ姿のぎこちない青年が状況を説明をしてくれる。彼女は今日、成人式の後に晴着姿を近くの病院に入院している祖母に見せに行く予定だった。車をだしてくれるように家族にも相談してみたものの、とてもこの雪のせいでいけそうにないとのこと。  あなた 『携帯で写真送ってあげればいいんじゃない』  お姉さん 『おばあちゃん。明日、東京の病院へ転院予定なんです。もしかすると...』  あなた 『しょうがない。乗ってください。あっ、お兄さんも乗ってくださいよ』  (お客の)お兄さん 『えっ、でも』  あなた 『勘違いしなさんな。いざという時、人手がいるかもしれないでしょ。お姉さん。着物が汚れないようにこのシートをかぶせておいてください』
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