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「おお、ちょっといいかも。まだ行ったことないけど。それで、どうなるの」
「あわてないでお茶でも飲みながら気楽に聞いて。アールグレイがいいわよ。ベルガモットは心を落ち着ける作用があるの。そうね。家の近くには鉄道が走っているわ。でもそんなにお客さんはいないの。結局、その路線は国鉄民営化で廃止になるわ。士幌線。貴方の家の近くには駅がある。駅はね、武儀(むぎ)駅。駅舎もなくホームしかない。もともと無人駅だったの」
「その駅の近くに俺は住んでいたんだ」
「そう。貴方はその路線の廃止と同じ時期に、この町を出ていくの。まあ詳しく調べてみないと分からないかもだけど、その頃は村だったかもしれないわ」
「どうして出ていかなきゃいけなかったんだ」
「お兄さんが一人いるっていったでしょ。貴方とお兄さんは五つ程、歳が離れているわ。近所に女の子がいてね。貴方とお兄さんとその子は幼馴染だったってことにしましょう。その子は貴方より二つ年上で、最初は仲のいい友達同士だったんだけど、だんだん貴方はその子を好きになってしまうの」
「ベタな展開だな」
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