走れメロンちゃん

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「そうか。家はでメロンも栽培していることからメロンちゃんと名づけたんだね。その後、俺はどうなるんだろうか?」 「昭和62年(1987年)3月。士幌線武儀駅。貴方はメロンちゃんと最後のお別れをして旅立つの。札幌? いや、せっかくだから東京まで行きましょうよ。貴方は故郷を捨てて東京へ出ていく。そうね。昭和の最後の物語らしく青春映画みたいに東京で劇団員を目指しましょうか。貴方は同郷の先輩を頼り、工場の二階に寝泊まりしながら印刷所で働くわ。そして俳優を目指すの。そうね、貴方は小さな東京の劇団で舞台俳優を目指すわ。当然、俳優養成所に入るお金なんてないから、この劇団で先輩たちを見様見まねで演劇を習得していくわ」 「どんな劇?」 「シェイクスピアの練習から始まってなんでもやるわ。でも、お金があまりないから衣装や舞台装置を無理しなくて済む現代劇が多かったかもね」 「なんとかなりそうなのかい。俺はあまり演劇の知識もないし、センスもなさそうだけど」
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