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「そう、貴方は想像どおり俳優ではパッとしなかったわ。でもね、代わりに演劇の素晴らしさに入れ込んで制作側に回るの。台本を作る方に目覚める。そう、脚本家っていったらいいかしら?」
「そっち方面では俺は大成出来そうなのかい?」
「もう、売れるとか売れないとかで判断しないで。ずっと続けているとそっちの算盤勘定の方はもうどうでも良くなるの。小さい劇団も主催するんだけど、といっても全員アマチュアだけどね。放送作家の仕事もボチボチしているけど、それだけじゃ食べていけなくて普段は2トン車で配送の仕事もしているわ」
「悪くないけど地味だな。小説なんだし、もう少し何か絵になるような盛り上がる展開ってない?」
「じゃあ、変わったことをしてもらいましょう。貴方は30代後半でトラック配送の仕事はやめて観光地で人力車の車引きをするわ。場所? うーん、浅草だと誰もが最初に思い浮かぶし、月並みだから鎌倉にしましょ。貴方は鎌倉で車引きの仕事をしながら劇団の脚本を書いたり、時たま放送作家の仕事をしているわ」
「いいね。最初から想像もつかないような方向へ展開した。さっそくだけど何か面白いエピソードは無いの? 鎌倉関係とか」
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