episode.1 別れと、出会いと

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「結黄~、帰るぞ~」 「あらぁ、蒼くん! 今日もお迎え、お疲れ様ね」 「全然っすよ」  保育園のお迎えに行くと、ちょくちょく他の子のママさんと一緒になることがある。高校生のお迎えが珍しいのか、声をかけられることも多い。母ちゃんよりも、オレの方がよっぽど他のママさん達と仲がいいような気さえする。  偉いわね~、と声をかけられるのは少し苦手だけれど、みんななんだかんだ優しくしてくれるから有り難い。  その日も少しだけママさん達と話をしてから帰宅した。 「ただいま」  誰もいないと思って小さく呟いたのに 「蒼……!」  奥から母ちゃんが飛び出してくる。 「……母ちゃん? どしたの」 「おばあちゃんが……」 「……ばあちゃん?」 「…………亡くなったって……」 「――は?」  抱っこ紐がなかったら、結黄を落っことしていたかもしれない。 「なん……?」 「心筋梗塞だったって、おじいちゃんから連絡があって……」 「……」  言葉が分からなくなったみたいに唇だけパクパクさせて。目の前が真っ暗になるってこういうことなんだな、なんて。変に納得している自分が遠い。 「とにかく、病院に」  結黄のお出かけバッグをひっつかんだ母ちゃんが、オレの腕を引く。  引きずられるみたいに家を出て、そこから先はよく覚えていない。
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