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僕のような若い身には過ぎたことと思いながらも、向こうも仕事の一環であると割り切った。
その頃は、ただ楽しければよかった。
取引先の女性従業員たちとも飲みに行く機会も多く、いつしか美奈とは疎遠になってしまった。
※
「わたし、ずっと浩司さんのことを待っていたのよ」と美奈は小さな声で言った。
「わたし、自分から積極的にどんどんいくタイプでもないし」と続けた。
美奈はこの春、半島の奥にあるワイナリーの若手経営者と結婚することになった。
勤め先の銀行と取引のあった、その彼から猛烈にアタックされ、受け入れたらしい。
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