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その日も雪が降っていた。
美奈と最後にデートした夜、居酒屋から二次会へとそのラウンジへ誘った。
たわいもない会話しか覚えていないが、ラウンジのカウンター横の大きな窓から激しく降る雪が見えた。
どんどん降り積もって、二人とも家へ帰ることができなくなればいいのにと思ったのだった。
いや帰らなければよかったのに、なぜあの時、そうしなかったのか。
※
その年の秋が深まった頃、美奈の披露宴がおこなわれた。
ずっと何かひと言がほしいと言っていたので、祝電を打った。
〝ご結婚おめでとうございます
ムーンリバーへ船出する二人に
いつまでも誓いの言葉を大切に〟
(友人Kより)
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