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地方銀行に勤める彼女とは、時々、仕事帰りに食事をする仲であった。
いつも約束の時間に急用が入り僕が遅れた。
その埋め合わせにと、美奈が一度訪れてみたいと言っていた料亭の懐石を、26歳の誕生日に用意した。
僕はこれまで仕事で何度か、地主を接待するためにこの高級店を利用しており、少し得意げであった。
待ち合わせのドーナッツショップの前から、一緒にスクランブル交差点を過ぎ、繁華街の喧騒を離れるように、この街で一番大きな橋を渡った。
そして、川沿いの小道を歩いた。
5月の夜の心地よいそよ風に心も弾んだ。
料亭は心落ち着く雰囲気であった。
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