星物語

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銀世界にひとつ、ゴルフボールが落ちた。わたしが落としたものだけれど。落としたというよりは、投げた。 ひとつ、ふたつ、みっつ。北斗七星が出来上がっていく。そしてオリオン座。 昔、お父さんがよくゴルフボールで雪の上に書いてくれた星物語。わたしは、その話を聞きながら筆を動かした。その時間が好きで、わたしは冬が好きで雪が待ち遠しかった。 今でもクラブを見ると、あの時間を思い出す。 星を見ると、雪が降る。 筆を取ると夜空を思う。 クローゼットの奥から引っ張り出したクロッキー。開いて今日は、わたしが真っ新な雪景色に星物語。
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