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プツッ ツーー。
通話口から聞こえる音が機械音に変わったことで空も通話を終了させた。
もう真っ直ぐ歩けば彼女の家だ。
だが、グッ、と踏み込んだ深さと、彼女の視線から目的地がそこから離れていることは明白だ。
予想通り、飛び出した空は自身の家に持っていた鞄を投げ入れながら通過した。
より身軽になった空はいつのまにか登っていた屋根の上を駆け抜けながら、リモコンのようなものを取り出す。
手の先をなにやら小さく動かすと、
空が着ていた一般的なブレザーが学ランのような黒に近い紺色制服へと変化していた。
金色のボタンを首上までぴっちりしめ、セーラー服のように腰までしかない制服は肩口に肩賞が加えられている。
ボタン以外を装飾は無く、服は無地のまま伸縮性のありそうな生地で作られていた。
空が屋根を踏み締めるたび黒タイツの上をスカートがはためく。
軍服というにも制服というにも、シンプルで暗すぎるその服は彼女達の戦闘服だ。
紺色の制服は透明感のある空色の髪によく映える。
その肩まで伸びる髪をたなびかせながらも、空の琥珀色の瞳は真っ直ぐ前を向いたままだ。
そしてしばらく走り続けていた空は鋭く光るその瞳で、ようやくと敵を捉えたのだ。
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