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第1話 出会い
「内緒にしてね?」
彼女は口元に人差し指を当てた。
まさか、こんな事になるとは思いもよらなかった。
ここは学校の校舎裏。
目の光った野生動物が辺りを取り囲んでいる。
****
今日は日曜日。
私は自分の部屋のベッドの上で、ごろごろしていた。
昨日、買ったばかりのマンガを読みながらごろごろする。
ああ、至福の時間・・・。
「にゃ~」
みいちゃんが私にすり寄ってきた。
全身が黒で、瞳がきれいな金色をしている。
「ん?どうしたの?」
「マンガばっかり読んでないで、外に行ったらって?余計なお世話よ」
私は日下由美14歳、身長が低めで髪はショートカットの地味な女子中学2年生だ。
猫とお話しできる能力を持っている。
テレパシーってやつだろうか?
もしかして他の動物も出来るかもしれないが、試したことは無い。
「お休みの日ぐらい、のんびりしてもいいじゃない。学校って場所でHPゴリゴリ削られているんだよ」
私はみいちゃんに話しかけていた。
「ま~た、みいちゃんと話してるよ・・たまには外行ったらどうなの」
部屋のドアは開いていて、廊下から妹の由梨11歳が声をかけてきた。
ツインテールの髪で、お化粧をしているお洒落な小学生である。
いつも外へ遊びに行っているはずなのだけど。
「今日は家にいるんだ。珍しいね」
「家にいる日もあるわよ。悪い?」
悪くは無いけど・・。
私の言い方がきつかったのかな。
「今日彼氏とデートだったんだけど、予定が合わなくなったのよ。仕方ないじゃない」
妹はデートだったらしい。
なんていうか・・私と違い過ぎる。
今更だけど。
二人?に促されて、私は珍しく散歩に行ってみることにした。
歩くと痩せるかもしれないし・・。
少し、お腹がぽっちゃりしてきた気がする。
運動部とか入ってないから、授業でしか体を動かす機会が無い。
近くのコンビニまで来た。
中覗いて行こう。
何かあるかもしれないし。
スイーツを見てみた。
「これいいなぁ」
旬の時期のイチゴが乗ったカップケーキに目がいく。
痩せるために歩いていたわけだが・・ま、いっか。
手に取ろうとしたら、隣の人と手がぶつかった。
「日下さん」
あれ?誰だっけ?
一応クラスの人なら憶えているはずなんだけど。
私は首を傾げた。
「僕、隣のクラスの島村樹です。残り一個だから譲りますよ。どうぞ」
隣のクラスの男子だったか。
男子も甘い物好きなんだな。
「島村くんだっけ。私はいいから・・」
そそくさと私は店を出た。
あ~びっくりした。
知らない人だったけど学校の人に会うとか。
初対面だと、とくに緊張してしまう。
深呼吸をして、私はゆっくりと歩き出した。
外に行くと、ろくなことないな。
早く家に帰って、アニメでも見るとしよう。
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